VIETNAM

ベトナムは東南アジア諸国ではフィリピンに次ぐ人口大国で、南北に約1600km伸びる細長い国土に、約9000万人が暮らしています。多様な民族と宗教を抱えていますが、民族・宗教間の対立はそう多くはありません。
1980年代後半に始まる改革開放政策(ドイモイ)と豊富な労働力を背景に、1990年代から急速に経済成長を遂げました。主な輸出品目は、胡椒・コーヒー・米・カシューナッツで、世界屈指の輸出量を誇っています。2000年代以降はエレクトロニクス製品の輸出が急増し、いまや東南アジア諸国の主要な工業国の一つとなりました。1人あたりのGDPは2,171ドル(2015年統計)であり、経済成長を続ける余地はまだまだ大きいと考えられます。

政治 ~Politics~

ベトナムはロシア、中国などと同じ共産党の一党支配体制がとられています。最高意思決定機関である党大会が5年に一度開催され、党の基本方針の策定、中央委員会のメンバーの選出が行われます。年2回の中央委員会では、党大会以外での政策方針を決定し、政治局員を選出、さらに政治局により、書記長・国家主席・首相の人事が決定されます。党指導部の合議によって、ベトナムの政策は方向づけられています。
一方、国会議員は国民選挙により選出されますが、候補者は共産党の主導する大衆動員組織から選出されるため、政策立案には共産党が大きな影響力を持っています。しかし国会もただ党指導部に従っているわけではなく、党内や国会での議論は比較的闊達に行われ、具体的な人事や政策の内容には、党内や国会の意見が一定程度反映されます。こうした意外に透明性の高い側面が、ベトナム政治を比較的安定させていると考えられます。

経済 ~Economy~

安価な労働力と、海運でのアクセスが容易でタイや中国からも部材調達がしやすい地理的環境により、製造業など労働集約型産業を中心にベトナム経済は発展を遂げてきました。
しかし、国営企業の多角化経営失敗による不動産バブル崩壊と不良債権問題、公務員の腐敗・汚職問題、インフレの原因となった政府と中央銀行のマクロ経済政策・為替政策など、公的部門に多くの課題があります。生産年齢人口の伸び率が低下している中で、今後の成長には高付加価値産業の発展、投資環境の改善、人材の育成、マクロ経済の安定化が不可欠です。これらの改革が順調に進めば、年平均5%台のGDPを維持できるとみられています。政治的要因により左右されるリスクを念頭に置いておく必要があるでしょう。

ワンポイント情報 ~Information~

ベトナムの南部と北部は、その風土や生活に異なる点があります。たとえば南部のホーチミンは一年を通して暑い気候ですが、北部のハノイにはゆるやかな四季があります。また市民の気風にも違いがあり、自由闊達で新しい物好きなホーチミンに対し、ハノイの市民は猜疑心が強く保守的といわれています。それらは消費市場にも影響するので、南北それぞれの特徴も考慮に入れておきましょう。
またベトナム人は子供のためなら出費を惜しまないと言われており、実際に消費支出に占める教育の割合は6%とアジアの中でも高水準です。教育関連分野に加え、子供向けのプレイルームやキャラクターの小売など、子供関連市場に潜在力がありそうです。

統計データ

人口 約9,444万人(2016年統計)
面積 32万万9,241km²
首都 ハノイ
民族 キン族(越人)約86%、他に53の少数民族
言語 ベトナム語
宗教 仏教、カトリック、カオダイ教他
政体 社会主義共和国
元首 チャン・ダイ・クアン国家主席
名目GDP 約1,988億米ドル( 2015年 )
1人当たりGDP 2,171米ドル(2015年)
主要産業 第一次産業18.4%
第二次産業38.3%
第三次産業43.3%
経済成長率 6.68%(2015年)
消費者物価指数 0.63 (2016年4月IMF)
失業率 2.31%(都市部:3.29%、農村部:1.83%)

人口ピラミッド(2017年)

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出展:Population Pyramids of the World from 1950 to 2100